「っご、ごめん」
慌てて手を引っ込めようとしたら、手を掴まれた。
私の胸は焦りと驚きでドキドキと音を立てはじめる。
ど、どういう状況!?
な、なんで手掴まれて……っ。
焦っていると、羽山くんが私の耳に顔を近づけて、
「手、離したくないです」
と、言った。
私はなにも言えず、黙ってうなずくしかなかった。
あぁ、私ってなんで断れないんだろう。
今日ぐらいは、って思ってたけどやっぱり、羽山くんのためにも断った方がいいはずなのに……。
映画もラストシーンまでやってきて、夕焼けの見える屋上で、主人公は幼なじみの男の子と見つめ合う。
『本当に……私なんかでいいの?私、バカだしドジだし、不器用だし素直じゃないし……それでも……いいの?』
『当たり前。つーか、お前しか無理』
そして2人はキスを交わし、ハッピーエンドで幕を閉じた。
あぁ、なんて胸キュンでいいお話なんだろう。
こんな恋、してみたいよ。
現実の恋ってなんでこうも上手くいかないのかなぁ。



