しかも相手は私のことを好きだと言ってくれている羽山くん……。
気まずさ100……いや、120%だよ。
ダメダメ!
意識したらせっかくの映画が全く頭に入ってこなくなる!
映画の内容に集中しなきゃ!
私は自分にそう言い聞かせて、スクリーンに集中した。
……が、しかし。
『……俺にキス、しろよ』
『ぜ、絶対ヤダっ!』
『なに恥ずかしがってんの?ほら、はやく』
ちょっと待ってよ。
なにこのシーン。
この男の子のセリフ、どこかで聞いたような……。
『じゃあ……俺にキス、しろよ』
って、どこかの誰かさんが言ってたよね?
あああ―――ッ!!!
さ、朔空くんだ……。
朔空くんが言ってたセリフだ。
あぁ、もうまた映画に集中できなくなってきた。
この映画の男の子、朔空くんに少し似てる。
思わず朔空くんと重ね合わせてしまうんだ……。
って、映画に集中集中!
私は心を落ち着かせるために、ポップコーンへと手を伸ばした。
すると、羽山くんと手が重なった。



