【完】“好き”って言葉だけじゃ足りねぇよ。






「きゃっ」



そのとき、誰かと体がぶつかった。



「ご、ごめんなさ……っ」



「東本さん、ごめんね」



聞き覚えのある声に顔をあげると、そこには王子様スマイルの朔空くんがいた。
朔空くんと目があった瞬間、私は目をそらして教室の中に入った。



「……っ」



心臓がドキドキいってる……。
久しぶりの朔空くんの声と匂い。
なんだか少し懐かしかった。



ダメダメ!
そんなこと思い出したら涙が出そうになっちゃうし、思い出しちゃダメだ……!



頭を横にぶんぶん振って、そう自分に言い聞かせた。



一回深呼吸をしてから、羅菜のもとへと戻る。



「陽莉、羽山くんなんて?」



「デートしよう、って言われた」



「えっ!?」



羅菜は驚きを隠せない表情で私を見る。