それから数週間が経った。



私と朔空くんは本当にただのクラスメイトに戻って、あれから一度も話していない。



「陽莉ってば、また澤村くんのこと見てる」



「み、見てないよ~……」



羅菜に指摘されて、慌てて答える。



あれから羅菜には朔空くんとただのクラスメイトに戻ったこと、自分の気持ちに気づいたことを伝えた。


羅菜はなにも言わず、抱きしめてくれた。
そして「陽莉の恋、応援してるからね」と言ってくれたんだ。
変に気を遣わず、前と同じように接してくれている。



「話しかければいいのに」



「ううん、見てるだけでいいの」



私と朔空くんが関わる前のように、朔空くんの周りにはまた女の子たちが集まり始めた。
私とはもう別れたって思ったからだろう。



「澤村くん!クッキー作ってみたんだけど、食べてみてくれない?」



「本当に?ありがたくいただくよ」



なんか一気に遠い存在になったような感じ。
いや、もともと近くなんてなかったのかもしれないけど……。



少なくとも私は朔空くんと過ごした時間はすごく楽しかったって思ってる。