【完】“好き”って言葉だけじゃ足りねぇよ。






「朔空くんが私を選んだ理由なんて、知らないよ……!」



私は大声で女の子たちに向かって言った。



そんなの私が聞きたいよ。
今思えば、わざわざ朔空くんを好きじゃない私をどうして選んだんだろう。
地味で目立たない、私のことを……。



どうして、こんな私に優しくしてくれたり、助けてくれたり、心配してくれたりするんだろう。



「アンタなに調子のったこと言って……っ!」



また違う女の子が私に向かって拳を振り上げたときだった。



「はーい、そこでストップ」



そんな声が聞こえて振り向くと……。



「朔空、くん……!」



ケータイを持っている朔空くんだった。



「キミたち、俺の可愛い彼女になにしてるのかな?」



朔空くんは笑顔で言ったけど、目が全く笑っていない。



「い、いや……その……な、なにもしてません!」



「へぇ、これでもそんなこと言えるんだ?」



そう言って、ケータイの画面をタッチする。



すると、女の子が私を平手打ちした動画が流れた。