「陽莉ー、着替え持ってきた……って、なにしてんの!?」



「チッ……」



保健室に入ってきたのは制服を持った制服姿の森川羅菜だった。
着替えの時間を考慮して体育はいつも授業終了5分前には終わるから、着替え終わった森川羅菜は陽莉のために着替えを持ってきたんだ。



「ら、羅菜!これは……その……っ!」



「森川さん、陽莉の着替え持ってきてくれたんだ?優しい友達を持ったね、陽莉」



ごまかすように王子様スマイルを森川羅菜に向ける。



「澤村くん、アンタ……陽莉から離れなさいよ!」



森川羅菜は陽莉から俺を引きはがす。
そして陽莉を抱きしめて、俺を睨む。



「陽莉はね、純粋なの!そういう、いかがわしいことしないでくれる!?」



「いかがわしいこと?別に俺はなにもしようとしてないけど?」



ウソ。
本当はキスしようとしてた。
正直、森川羅菜が来てくれてよかった。
キスしたらきっと、歯止めが効かなくなってただろうから。



「はぁ……なにがあったのか知らないけど、私は絶対アンタを信用しないからね!澤村くん!」



「そんな、ひどいなぁ。残念だよ」



森川羅菜は完全に俺の本性に気づいている。
そう確信した。
じゃないと、こんな俺のこと睨まないだろ。