「で、でも……っ」
「いいからのれよ。な?」
「う、うん……」
陽莉は遠慮がちに俺の背中にのってきた。
陽莉、軽……。
まぁ華奢だからだろうなんだけど。
「まずは水道で一回洗うか」
「うんっ」
グラウンドから少し離れた手洗い場で陽莉をおろすと、蛇口をひねった。
陽莉はゆっくり水に傷口をあてる。
「いたっ」
「あはは、痛そうだな」
「も、もう、ほんとに痛いんだからね!」
「ほんと陽莉はドジだな」
ムキになる陽莉が面白くてそんなことを言う。
「さ、朔空くんのせいだし……」
「え?」
すると、陽莉がポツリとなにかつぶやいた。