陽莉の足には大きな擦り傷が出来ていて、血が流れていた。


「陽莉、立てるか?」



「う、うん……」



俺が手を差し出すと素直に手を重ねて立ち上がる。



「先生、俺が保健室連れていってきます」



「えっ、でも朔空くん試合……」


驚いた表情で俺を見る。



「そんなの陽莉のケガに比べたらどうでもいい」



俺のその言葉に陽莉はカァァと顔を赤くした。



ふっ、ほんと可愛いヤツ。



「じゃあ澤村くん、東本さんのことよろしくね」



「はい」



先生に許可をもらった俺は陽莉の前にしゃがんだ。



「ん」



「え……?」



「おんぶしてやるから」



擦り傷とはいえ、痛いだろうし。