その女子の中に陽莉を見つけた。
目が合ったけど、少し恥ずかしそうに頬を赤くしてそらされた。
……なんだよ、あれ。
可愛すぎだろ。
俺ってばどんだけ陽莉を好きなんだよ。
陽莉の想いが俺に向けばいいのに。
「次、東本さんだよー!」
「は、はーい!」
クラスメイトの女子に呼ばれて、陽莉はハードルを飛び始めた。
1つ、2つ、3つ、と、ハードルを飛んでいく。
そして最後の1つ。
「きゃっ」
ガチャン―――
陽莉はハードルに足をひっかけて派手に転んだ。
「陽莉!!!」
試合途中だけど、俺は迷わず陽莉のもとへ駆け寄った。
「陽莉、大丈夫か!」
「さ、朔空くん……」
目に涙をためて、眉を八の字にする陽莉。
そんな陽莉にでさえドキッとしてしまった俺はバカなのだろうか。