……ったく、陽莉のヤツ、どういうつもりなんだ。
なんであんな後輩野郎に告白されてんだよ。


梶原と陽莉が授業中に土曜日に練習試合があるから見にいくだとか言ってたから、見にいってみたら本当に羽山の練習試合見にいってるし。
俺に隠れてコソコソと。



しかも一緒に帰ってるし、告白されてるし……はぁ、マジでムカつく。



陽莉は鈍感だから羽山がストレートに言うまで、羽山が自分のこと好きだって気づいてなかったみたいだし。



つーかあの羽山ってヤツ、俺と陽莉が本当は付き合ってないってことに気づいてるよな。
俺が陽莉のこと好きなことも全部。



陽莉もバカだからいつアイツにどこかへ連れていかれるかわかんねぇし。
ほんとヒヤヒヤする。



あぁー……もうマジでムカつく。
なんで俺だけこんなに焦らなきゃいけねぇんだよ……。



「澤村ー!パス!」



「……っ」



そうだ、今、体育でサッカーしてるんだった。



俺は我にかえってパスされたボールを相手チームに取られないようにかわして、ゴールを決めた。



「「「キャー!!!」」」



すると、近くでハードルをしていた女子の黄色い声が聞こえる。
俺には彼女がいるからって控えめに叫んだつもりなんだろうけど、普通に聞こえてるんですけど。