……どうして、はっきり“好きじゃない”って言えないんだろう。
「……いたっ!」
考え込んでいると、朔空くんがデコピンをしてきた。
「冗談だって。そんなマジになんなって」
痛がる私を見て笑う朔空くん。
なんだ……またからかったのか。
やっぱり朔空くんの方が私を振り回してるじゃん……。
「とにかく、アイツと2人で会うのはもうやめろ」
「う、うん……」
朔空くんはどうしてそんなに羽山くんをイヤがるんだろう。
私のこと好きなワケじゃないのに、どうして私を羽山くんから離そうとするんだろう。
「ほら、家まで送ってやるから」
と、朔空くんは私に手を差し出した。
静かに朔空くんの手に自分の手を重ねると、家の方向へ歩き始めた。
「……ねぇ、朔空くん」
「ん?」
私は朔空くんに気になっていることを聞こうと口を開いた。



