しばらくにらみ合うと、羽山くんが先に目をそらした。
「……絶対、陽莉先輩は澤村先輩に譲りませんから」
そして鋭い目つきで朔空くんにそう言うと私にペコッとお辞儀をして、帰っていった。
「…………」
「…………」
私と朔空くんの間には沈黙が漂う。
な、なにか話さなきゃ……!
私は焦ってとりあえず口を開いた。
「あ、あの……きゃっ!」
すると、腕を引かれ、私は朔空くんの胸にすっぽりおさめられていた。
朔空くんの甘い匂いに胸がドキドキし始める。
「……バカ」
朔空くんは第一声にそう言った。
「ば、バカって……っ」
「お前ってほんと俺を振り回してばっかだよな」
「え!?」
いやいやいや、いつも私を振り回してるのは朔空くんの方じゃん!!?



