「なんの話してたんですか?」
隣で一緒に通学路を歩いている羽山くんがニコニコしながら問いかけてくる。
「秘密の話だよ」
私は少しごまかすように笑って答えた。
「もしかして……好きな人の話、ですか?」
「んー、まぁそんなところかな~」
「あの!」
すると、羽山くんが急に立ち止まって私の両手首を掴んだ。
そして私の目を真っ直ぐに見つめてくる。
「う、うん?」
「陽莉先輩って……好きな人、いるんですか?」
「え?好きな人?」
「そうです!好きな人です!」
好きな人、か……。
そのとき、ふと私の頭の中にある人物が出てきた。
……朔空くん?
……って、そんなワケないじゃん!
朔空くんはイジワルだし、俺様だし、でもたまに優しくて、素直じゃなくて……って、私ってばなに考えてるの!



