【完】“好き”って言葉だけじゃ足りねぇよ。






「梶原くんでしょ?」



「……え!?ち、違うよ!?」



「えっ!?」



う、ウソ……?
梶原くんの彼女は里依ちゃんじゃなかったの……?



「わ、私と新はただの幼なじみで……その、好きなのは私だけだから……」



それって……里依ちゃんは梶原くんを好き、ってこと……だよね?



「一緒に仲良く帰ってるから付き合ってるのかと……」



「新って心配性だから……私のことを子ども扱いして、一緒に帰ったりしてるだけだよ。新は鈍感だから全然私の気持ちに気づいてくれないけどね」



あはは、と、どこか切なそうな笑顔を見せる。



「そうだったんだ……」



私はそのとき、ふと、朔空くんに梶原くんの机に座ってるところを見られたときの、朔空くんの言葉を思い出した。



『……てか知らねぇの?』



『え?』



『アイツに彼女いるんだってこと』



朔空くんはあのとき、里依ちゃんが彼女だって勘違いしてただけなの?
それとも……ウソ、ついたの?



……って、そんなウソつく必要ない、か。
勘違いしてただけだよね、きっと。