【完】“好き”って言葉だけじゃ足りねぇよ。






人目につきにくいところに移動して、また体育館を見下ろす。



しばらくすると休憩に入り、羽山くんはさっきのタオルで汗を拭く。



羽山くん、使ってくれてよかった。
私ほんとセンスないから「いらない」って言われるかと思ったもん。



それから練習試合はうちの高校が全勝して、終わった。
私は帰ろうと体育館を出ようとすると、羽山くんに声をかけられた。



「あの、陽莉先輩!」



「あ、羽山くん。今日は本当にお疲れ様。すごくカッコよかったよ」



私が微笑むと羽山くんは少し頬を染めて笑う。



「今日は来てくださって本当にありがとうございます!陽莉先輩のおかげで、全勝出来たようなものです!」


「そんなことないよ。羽山くんや他の部員のみんなが頑張ったからだよ」



額の汗がキラキラしている羽山くんは笑顔もキラキラしていた。



なにかに一生懸命になれる人ってカッコいいな。



「あの、よかったらなんですけど……一緒に帰ってもらえませんか?」



「え?」



「その、陽莉先輩と少しお話したくて……」



羽山くんは恥ずかしそうに下を向く。