「朔空く……」
「どこ行くの?陽莉」
陽莉は俺から目をそらす。
「別に、どこでもいいでしょ。朔空くんには関係ない」
「関係あるよバカ。お前の彼氏なんだから」
わざと1年に聞こえるように“彼氏”を強調した。
「……悪いけど今日は陽莉、俺と帰るから」
「あ、そうですか!じゃあまた後日!陽莉先輩、さようなら」
1年は愛想よく俺と陽莉に笑顔を向けると、去っていった。
なんだアイツ、バカなのか?
人の彼女(仮)を連れて行こうとしておいてあんなニコニコして……。
「……陽莉」
「朔空くんのバカ」
「……悪かった」
「へ……?」
「理不尽に怒ったりして」
素直に謝る俺を見て、陽莉はキョトンとしている。