「羽山くんは素直で可愛くて、朔空くんとは大違いだね~」



なんて、嫌味っぽく言ってみる。



「…………」



すると朔空くんは黙ったまま、さらに不機嫌そうな表情をして自分の席に着いた。



「もう、意味わかんない」



朔空くんは自分の気持ちを素直に口で言ってくれないから、なにを考えてるのかよくわかんない。
私、エスパーじゃないんだから……朔空くんの気持ちを透視できないし。



ふと、朔空くんの方に視線を向けると数人の女の子と楽しそうに話していた。



なによ、猫かぶって王子様ぶっちゃって……。
朔空くんのバカ。
どうせ女の子に話しかけられて鼻の下を長くしてるんでしょ。



女の子たちはみんな頬を赤く染めていて、朔空くんのことが好きなんだとわかる。
そう思うとなぜか胸がモヤモヤしてきた。



……あぁーっ!もう朔空くんのこと考えるのやめる!
イライラしてきた!



キーンコーン―――



チャイムが鳴り、私は少しイライラしながら席に着いた。