落ち着いた、というよりは「安定した」って感じかな。
「……御園生も変わったね」
『本当?』
「どこが?」と訊かれている気がした。言葉を求められている気がした。
 でも、「ここが」と言えるほど俺も御園生のことを知ってるわけじゃない。
 話そうと思えば話せるんだけど、そこまで詳しいことは求められてない気もして、
「うん。声に張りがあるっていうか……それだけ充実した毎日送ってるんだなって感じる声」
 そう答えると、「なんだか嬉しいね」と声が返ってきた。
「そうだね」
 そのとき、後ろから肩を叩かれ振り返ると、ハルが時計を指し次が移動教室であることを知らせてくれる。
「また連絡してもいい?」
 慌てて訊くと、
『うん。あとでメールアドレスも送るね』
「待ってる」
 言って携帯を切る。
「何なに~? また連絡してもいい? って」
「うっさい! からかうなよっ」
「そりゃからかいたくもなるでしょー! いやーん、ハルくん黙ってらんなーい! 隼人せんぱーーーい」
 ハルは大絶叫しながら廊下を走っていった。