片恋シリーズ~鎌田公一編~

 驚いたままに御園生の顔を見ていた。でも、嘘を言っているようにも冗談を言っているようにも見えない。ひどく狼狽しているようにすら見える。
「御園生、大丈夫……?」
「あ、大丈夫っ。普段の生活に支障が出るようなものではないし、病気とかそういうのでもないの」
 慌てて否定するけど……記憶がないってどんななんだ――?
「そっか……。だとしたらさ、もしかして、俺がそのときに付き合ってほしいって言ったのも……忘れて、るのかな……?」
 なんで今そんなことを言ったのかは不明。でも、やっぱり知っててほしかったんだと思う。
 自分が御園生のことを好きなことを。以前、そういう意味で言ったということを。
 御園生は再び驚いた顔をして俺を見上げた。そして、小さく「ごめんなさい……」と謝った。
「いや、記憶ってなくそうと思ってなくせるものじゃないと思うし、どこか抜けてる御園生だから、記憶をなくしてなくても忘れられてたかもしれないし」
 それは御園生を擁護したというよりも、自己擁護。