御園生が自分から中学の話をするとは思いがたい。けれど、何もなければあんな目で見られることもない気がした。それっていうのは何かがあったからなんじゃ……。
そう思って訊いてみたけれど、御園生はどこか要領を得ない顔をしていた。そして口を開いたかと思えば、
「私、鎌田くんと会ってる……? 街中で会ったのって……いつの話?」
会った、と言ってもほんの数分の出来事だったし、忘れられていても仕方ない。
そうは思うけど、ちょっとショックを受けた。
やっぱ自分って、御園生にとっては記憶にも残らないような人間なのか、と。
「……五月の終わりだったかな? ウィステリアデパートの雑貨屋さんで会ったけど、覚えてない?」
色んな感情を隠したくて笑みを添える。と、御園生はとても言いづらそうに口を開いた。
「鎌田くん、あのね、私……春からの記憶の一部をなくしてしまって……」
ついさっき受けたショックとは違う衝撃を受ける。
記憶がないって……何? そういうのって普通に起こるものなの?
そう思って訊いてみたけれど、御園生はどこか要領を得ない顔をしていた。そして口を開いたかと思えば、
「私、鎌田くんと会ってる……? 街中で会ったのって……いつの話?」
会った、と言ってもほんの数分の出来事だったし、忘れられていても仕方ない。
そうは思うけど、ちょっとショックを受けた。
やっぱ自分って、御園生にとっては記憶にも残らないような人間なのか、と。
「……五月の終わりだったかな? ウィステリアデパートの雑貨屋さんで会ったけど、覚えてない?」
色んな感情を隠したくて笑みを添える。と、御園生はとても言いづらそうに口を開いた。
「鎌田くん、あのね、私……春からの記憶の一部をなくしてしまって……」
ついさっき受けたショックとは違う衝撃を受ける。
記憶がないって……何? そういうのって普通に起こるものなの?