「何度もごめんね」
 申し訳なさそうに御園生が謝る。
「ううん」
 俺に向けられた視線はきついものだったけど、その目が御園生を見る分にはとても優しいものに思えたから。
「御園生、すごくいい友達がこの学校にいるみたいで、なんだか安心した」
 つまりはそういうことなんだろうな、と思った。
「うん……一年遅れたけど、この学校に来られて良かった」
 屈託のない笑顔を返される。
「俺も。……少しがんばって海新に行って良かったと思ってる。うちの中学っていうか、幸倉近辺ってなんか全体的に少し歪んだところがあったから……。そういうところには行きたくなかったんだよね」
 御園生がびっくりした顔をした。
「意外だった?」
 ちょっとだけおどけて肩を竦めて見せる。と、
「意外っていうか……。同じようなことを考えてる人がいるとは思わなかったから……」
「そっか。そうだよね。……でも、この学校の人たちの反応見てると――高校入ってから何かあった? ほら、以前、街中で会ったときも一緒にいた人に牽制されたし」