攻撃っていうと大袈裟すぎる気もするけれど、まさにそんな感じだったんだ。
 日常的な嫌がらせは指を折って数えられるほど――。
 学校に登校してきたら彼女の机に花瓶が置いてあった。花瓶といっても飲み物の瓶にそこらへんで摘んだであろう雑草が突っ込んであるだけの粗末なもの。
 まるで亡くなったクラスメイトの机に花を……的なもの。実際には花瓶じゃないしちゃんとした花でもないから、単なる悪質な嫌がらせなんだけど。
 ほかにも、机に落書きがしてあったり、黒板に悪口が書かれていたり、その手の類が尽きなかった。
 だけど、彼女はそれらに動じない。動じないというよりは、きっと一、二年で慣れてしまったのだろう。ただひたすら、黙々と対処する。
 教科書や上履き、体操服がなくなることも多々あったけど、彼女はそれを担任に話すこともしなかった。
 彼女は、いつもひとりだった。