片恋シリーズ~鎌田公一編~

「あのとき使ってた携帯とは違うんだけど、携帯、代わってもらうときに表示されてた名前が『翠』ってなってた。それって御園生さんの下の名前なのかなと思って。あのとき、電話に出た藤宮くんも『スイ』って言ってたし」
 先輩は続けて、「藤宮くんと付き合ってるの?」と訊いた。
「ちっ、違いますっっっ。ツカサには好きな人がいますしっ……」
「……力いっぱい否定、ね? ……で、藤宮くんには好きな人がいる……か。じゃぁさ、俺が付き合ってくださいって申し込んだら少しは考えてくれる?」
「えっ!?」
 話の展開についていけない。ただただ唖然とするのみ。
「あのっ……」
「答えは今じゃなくてもいいんだけどな? 俺は一目惚れだけど、御園生さんは俺のこと何も知らないでしょう? 何度か一緒に遊んだりどこか行ったりして自分のことを知ってもらってから決めてもらえると嬉しい」
「あのっ……」
「ん?」
「ごめんなさいっ……」
 御園生は腰を直角にするような形で頭を下げた。