「ここの生徒会ってめっちゃハイレベルって噂なんだけど……」
「成績も容姿もって噂まで本当だったとは……」
「藤宮恐るべし……」
 下田、郷田(ごうだ)、ハルの順で呟く。
 御園生はポケットから黒い携帯を取り出すと、両手で携帯をいじり片耳に添える。
「ツカサ……? あのね、海新高校の……方がいらしてるの。弓道部の……えと、インターハイが一緒だったっていう人」
 頭を鈍器で殴られた気分だった。
 御園生が男子の名前を呼び捨てにしてるなんて……。中学のときには想像もできなかったことだ。
「うん? わかった。待ってね」
 御園生は隼人先輩に携帯を差し出す。「ツカサ本人です」と。
 隼人先輩は、「ありがとね」とにこやかに笑って携帯を受け取った。
「――じゃ、そこに行けばいるのね? ところでさ、君、忙しいのかもしれないけど、携帯出ようか? あ? 持ってない? は? 昨日、今日と忘れた? 見かけによらずドジっ子?」
 なんの会話をしてるのか、御園生は先輩を気にしてチラチラと見ていた。それが少し面白くなくて、もう少し自分を見てほしくて声をかける。