「これ、欲しいでしょ?」
「……喉から手が出るほど欲しいです」
「素直でよろしい。とりあえず、チケット五枚あるんだわ。俺とかまっちゃんとハル。ほかにふたり行けるから誰か誘っといて」
「了解です」
 そんなわけで、ひょんなことから御園生に会えるかもしれないチャンスを手に入れた。



 十月末日、待ちに待った藤宮の学園祭当日。
 寝よう寝ようと思いつつ、ほとんど眠れずに朝を迎えた。
 朝から熱めのシャワーを浴び、念入りに歯磨きをする。そして何を着ていこうかと悩む。
 どれほど悩んでも、結局はいつもと変り映えしない格好に落ち着くわけで……。
 藤倉の駅で先輩たちと落ち合い、学園経由のバスに乗り込んだ。
 ツンツン――ハルに腕をつつかれる。