「外見は……学年で騒がれるほどにかわいいです。性格は……よく知らない、かな」
 俺は何度か話したことがあるだけで、それだけで御園生がどんな子なのか知ったつもりになっちゃいけないと思った。
 俺が知っているのは断片にすぎない。
「何それ。かまっちゃん、好きな子のことよく知らずに好きなの?」
 ハルに訊かれて、中学のとき、俺が見た御園生をかいつまんで話した。
「ふーん……そっか。それじゃかまっちゃんがその程度しか知らなくて当然って感じだね」
 ハルの言葉に違和感を覚える。
「当然」という言葉を呑み込んじゃいけない気がして……。
 踏み込むことは許してもらえなかった。でも、そこで諦めてもいけなかったんじゃないか、と今になって思う。
「中身はあまり知らず、ってなると一目惚れって感じなのかな?」
 先輩に訊かれて頷いた。
「そっか……一目惚れするくらいかわいい子か。それは見てみたいな。どこ校の子?」
「藤宮、です」
「マジっ!? 藤宮って超頭いいじゃんっ」
 ハルの驚きを見つつ、俺はなんとも言えない顔になる。