「ハル、悪い。今日部活休むわ」
「ええええっ!? そんなわかりやすく回避しなくてもよくないっ!?」
「いや……ちょっと、本当に自分をどうにか立て直さないとだめな気がするからさ。息抜きしてから塾行くわ」
「なんか悩みごと?」
「そういうわけでもない。あえて言うなら回想」
「はっ?」
「そういうことで、よろしく」
 俺はハルを置き去りにして教室を出た。

 駅までの上り坂を歩きながら、
「悩みごと――じゃないよなぁ……」
 ひとりぼやく。
 ただ過去の出来事を思い出しているだけ。さして多くもない会話の内容をエンドレスリピートで。