片恋シリーズ~鎌田公一編~

 好きって言うには勇気や度胸が足りなくて、一緒にいて話すのもタイムリミットがありそうな自分。
 知らないことのほうが多いはずなのに、気づいたときにはものすごく好きな子になっていた。そして、そのことに気づいた人間は意外と多かった。
 それをネタに俺もからかいの対象になったけど、もともとこの学校には性格の合う人間が少なかったこともあり、とくに気にすることもなかった。
 数少ない小学校からの友人も、何やら様変わりしてしまった。
 俺の卒業した小学校は地域的な問題で、中学に進学する際ふたつに分けられる。
 幸倉第一中に入学した人間は全体の半数以下。百五十人弱。彼女が卒業した小学校からはほぼ全員の四百人近い人間が中学に持ち上がっていて、この圧倒的な人数差に俺の小学校からの友人は呑まれてしまったわけだ。
 なんとも情けない――否、もしかしたらこれが自然の摂理なのかもしれない。
 ほら、長いものには巻かれろっていうし、朱に交わればなんとかっていうし、郷に入っては郷に従えっていうから。
 ……でも、俺には「事なかれ主義」って言葉のほうがしっくりきちゃったんだよね。