片恋シリーズ~鎌田公一編~

「ビニール傘ってとっても明るいのね? お天気は雨だし曇りなんだけど、布張りの傘よりも断然視界がクリアで明るいのね? 当たり前なんだけど、三百六十度視界がクリアでびっくりしたの」
 御園生はとても嬉しそうに笑った。まさに天使のようだった。話を聞いているだけのに、頬が熱を持つくらいには。
「布張りの傘とは大違い。雨の音がね、ポツッポツッ、て。はじける音がとても新鮮で、通学路がいつもと違って見えたの。なんだか知らない世界だったよ」
 饒舌な彼女は若干興奮しているのか、顔色が良く見えるくらいに紅潮していた。が、それ以上に自分の顔が熱すぎた。そんな俺に気づいた彼女は心配そうに俺の顔を覗き込む。
「もしかして……熱、ある? 顔、赤いかも……」
 笑顔が一気に曇った。やばい――俺は大慌てで取り繕う。御園生相手に嘘はつきたくないけど、嘘をつかずにはいられなかった。
「今日、寝坊して遅刻しそうで慌ててチャリ飛ばして来たから。だからちょっと暑いだけ」
 彼女はきょとんとした顔をしてから、クスリと笑う。