片恋シリーズ~鎌田公一編~

 別に自分が茶道に興味があったわけじゃない。ただ、中学のときに好きになった子が――今も好きな子が、卒業文集の片隅に「お抹茶と和三盆が好き」と書いていたから……。
 それだけの理由で茶道部に入ろうと決めたのだから、考えてみればかなり邪な理由だと思う。でも、何かしらの共通点を持っていたかったんだ。
「俺ね、自分の入部は決まってるんだけど、オトモダチひとりは必ず連れてこいって言われてるんだよね」
 俺は口をポカンと開ける。
 いったい誰に言われたんだ? それに俺たちは友達なのか?
 相変わらず犬っぽい水野春をまじまじと見ていると、
「ほら、さっきヒーローみたくバシバシ的に矢を中ててた人」
 指差す先には袴姿の人がいた。
「え?」
「デモンストレーションやってた人。滝口隼人センパイっつって、同じ中学であり、道場の先輩でもあるんだ。インハイ入賞者だから学校説明のパンフにも載ってたんだけど見なかった? 実はさ、家が近所なんだ。あの人、一見穏やかそうに見えるけど結構強引で、入部時にはトモダチ連れてこいって言われてんの」