片恋シリーズ~鎌田公一編~

 水野春はにこにこと笑ったままだ。誰かが俺たちを見ていたところで、俺が脅迫されているとは思いもしないだろう。
「ほら、かまっちゃん姿勢いいしさ。絶対に素質あると思うんだよね?」
 ちょっとだけ頭が痛くなる。
 出逢ってすぐに「かまっちゃん」と呼ばれていることにも違和感を覚えるし、さらには姿勢がいいからという理由だけで弓道部に誘われているらしい。
 ペースを持っていかれすぎていることを危惧し、自分の意思を伝えることにした。
「姿勢が良くても悪くても弓道部に入るつもりはないから」
「あれ? もしかしてもう部活決めてるの?」
「茶道部」
「えっ!? お茶が好きなのっ? 茶道って長時間正座だよっ!? 足、痺れるよ? それだったら弓道部にしようよ! お茶なら俺が淹れてあげるからさ!」
 全力で勧誘されていることはわかる。だが、若干話がおかしいことになってはいないだろうか……。
「ほら、やめておこうよ! 俺と一緒に弓道部にしよう」
 会ったばかりの、しかもよく知らない人に茶道部に入ろうと思った理由を話す気にはなれなかった。