片恋シリーズ~鎌田公一編~

「俺ね、記憶力いいんだ」
 にっ、と笑った顔が人懐っこくて犬みたいだった。
「あれ? 突っ込まないの?」
「何を?」
「うーわ……そこで何をって訊いちゃうんだ? かまっちゃんはからかっちゃいけない人だねぇ」
 のんびりとした口調でわけのわからないことを言う。
「は?」
「は? じゃないよ。そんな記憶力がいいんだってだけで信じないでよ。罪悪感感じちゃうじゃん。実際クラスだって違うのにさ」
 違う、のか……?
「これ、落としましたよーって話デス」
 見せられたのは配られたばかりの生徒手帳だった。
「昇降口で落としたの気づかずに行っちゃったからさ。あとを追ってきたんだ。さすがに入学初日に生徒手帳落としちゃまずいっしょ?」
 生徒手帳は胸ポケットに入れていた。それを昇降口で靴に履き替える際に落としたらしい。