「じゃ、各自作業に取り掛かって」
 ツカサの言葉で視聴覚室に集っていた体育委員とクラス委員、それから生徒会メンバーが席を立ち始めた。
 今日は明日に行われる球技大会を前に、最後の打ち合わせが行われていた。
「御園生さん、先日お願いしていた審判台、間に合ったかな?」
「はい。今日の午前中に搬入が済んだとメールが届いていたので、今は桜林館の倉庫にあるはずです」
「ありがとう。確認しにいくわ」
 いくつかの確認事項で声をかけられ受け答えをしていると、ショルダーの中の携帯が震えた。振動はすぐにおさまる。
「……メール?」
 確認すると、鎌田くんからのメールだった。
 紅葉祭のあと、自分からメールを送ると言っておきながら、私はメールを送ることをすっかり忘れていた。