風間先輩と昇降口へ向かうと、すでに帰り支度を終えたツカサが壁に寄りかかり待っていた。
 時計を見れば七時半前。
 咄嗟に駆け寄ろうとしたら、ツカサの視線に制された。
 そんな様を見た風間先輩が、
「あいつ、いつもこんなに過保護なの?」
 その問いには苦笑を返すことしかできない。
 ツカサのもとまで行ってから、
「遅くなってごめんなさい」
「別にかまわないけど……」
 言いながらもツカサは背後から現れた風間先輩に視線をやり、「どうしてこいつと一緒?」とでもいうかのような視線を返してくる。
「あの――」
 説明しようとした瞬間、風間先輩の声に遮られた。
「今、二回目の告白をしてきたとこ。ついでに、ハチマキの交換してもらえないか打診中。御園生さん、返事は明日聞かせてね! じゃっ!」
 そう言うと、風間先輩は走って昇降口を出て行った。
 風間先輩、待ってください……。
 まるで置き土産のように、どうしてこんな状況を作っていくんですか……。
 ツカサと「仲良くなりたい」という話が本気なのかすら疑わしく思えてくる。
 恐る恐るツカサに視線を戻すと、にこりと笑った顔が「説明しろ」と言っていた。
「ち、違うよっ!? 告白なんてされてないからねっ!?」
「それ、二回目はなかったけど一回目はあったってこと?」
 ツカサ、着目点が特殊すぎると思うの……。
 そんな視線を返したけれど、ツカサが動じることはなかった。