「……がんばります」
「うん。できればもっと自信たっぷりに言ってほしいかな」
 苦笑する風間先輩に私も苦笑を返す。
「自信たっぷりに言うのはちょっと難しいんですけど、ひとつ白状します。……私、谷崎さんに納得いかないって言われたとき、今更? って思ってたんですよ?」
 風間先輩は目を見開きびっくりした顔をになる。
「それに、私も佐野くんも、明日は勝ちにいくつもりです。なので……大丈夫です」
 風間先輩がクスリと笑ったので首を傾げると、
「御園生さん、もしかして負けず嫌い?」
「え……? もしかしなくても負けず嫌いですよ? 試験では打倒海斗くんですし……」
「そっかそっか……。じゃ、俺の心配は杞憂だったかな」
 風間先輩は言いながら頭を掻き天井を仰ぐ。
「いいえ。決して杞憂ではないし、声をかけていただけてよかったです。……少しふわふわしている気持ちを引き締めてもらえた気がするので」
 真っ直ぐに風間先輩を見上げると、
「くっそ……やっぱ御園生さんかわいいよなぁ~……」
「えっ、あのっ――」
 急に頭を抱えて唸り始めるから焦ったけれど、風間先輩はすぐに体勢を立て直した。
「明日はお互いがんばろうね」
「……はいっ!」