「因みに、二年前の紫苑祭では誰がMVPだったんですか?」
 私の問いに優太先輩は苦笑いを貼り付ける。
「訊かなくても予想できたりしない?」
「……ツカサ、です?」
「当たり。一年だろうが素っ気無かろうが、当然のように人気投票は掻っ攫っていくし、参加した競技でもそれなりの結果を残す。本当、そこら辺ぶれないよね~。今回もツカサかな? 騎馬戦の観戦とか見ちゃうとそんな気がしてならないよね」
「そうですね」
「彼女としては複雑?」
「いえ、そんなことは……」
 優太先輩とこんな話ができたのは女子の障害物リレーのとき。
 ツカサと飛翔くんは次の競技、徒競走決勝戦に出るため本部を離れていたのだ。

「そういえば、前回司が何に出たか聞いてる?」
「いえ……」
「知りたい?」
 こんなふうに言われて知りたくならない人などいないだろう。
 素直に首を縦に振ると、優太先輩はもったいぶることなく教えてくれた。
「男子全員参加のものはさておき、色別対抗リレーのほかメドレーリレー、二日目には合気道に出たよ。それと、翠葉ちゃんも知ってのとおり、ダンスのワルツ部門」
 え……?
「ワルツ、ですか……?」
「そう。……って、あれ? 翠葉ちゃん……?」
 目の前で手を振られ、何度か瞬きを繰り返す。