衣装製作班もモニュメント製作班も、紫苑祭当日は色別パレードでモニュメントを押してトラックを回ることになる。そこに参加するだけだったとしても、楽しむことはできただろう。けれども、色別パレードと応援合戦を比べるなら、応援団に属しているほうがより応援合戦に参加しているふうではある。
 その場合、問題がひとつ――。
 そういう決まりがあるわけではないものの、チアリーダーが女子だけで構成されるように、応援団は男子ばかりで構成されるのだ。そのため、ただの団員として参加するだけでは中途半端に悪目立ちしてしまう。だからこそ、「副団長」という表向きの立場を与えられたのではないか。
「ま、何はともあれ、まずは着替えないとね。みんな、すばやく着替えて戻ってくることー!」
 風間先輩が声を張ると、そこかしこから、「はーい」「うーっす」という間延びした返事が聞こえてきた。