「え?」
「入力するだけとはいえ、さすがに六レーン分のタイムをひとりでで入力していくのは厳しいので、実行委員と体育委員にタイムを手書きで記録してもらえるようお願いしました。競技が終わったら手書きデータをもらえることになっているので、私たちはそれをもとに集計するだけ。時間があるときにひたすらエクセルに入力していけばいいだけなんです」
「なるほどね……。翠葉ちゃんお見事!」
「そんなに大したことはしていません。むしろ、リアルタイムで入力するほうが大変ですから」
 そんな会話をしていると、手厳しい一言が割り込んだ。
「それ、入力ミスったら時間に猶予があっても水の泡だから」
 飛翔くんの言葉に、私は確認のための暗算をタスクに追加する。
 そうこうしていると、実行委員から無線が入った。
『通信状況のチェックです。問題なければ集計代表者から返信お願いします』
「翠、返事」
「あ、はい。こちら生徒会集計班。問題なく聞こえています」
『このあと、体育委員と放送委員から同様の通信チェックが入るので、引き続きお願いします』
「わかりました」