チアの衣装はクラスの女子を見て知ってはいたが、それとはずいぶんと異なる。
 頭ちっさ、身体ほそ……。
 貧血を起こしたときに一度だけ抱えたことがあるが、あの頭はあんなにも小さかっただろうか。加えて、普段制服に包まれている身体は思わず心配を強要されるほどに華奢だ。
 しかし、頭が小さいこともあり、アンバランスには見えない。もし一般的な頭の大きさをしていたら、それはそれで奇妙なバランスに見えたことだろう。
「はーい、翠葉はそのジャージ取ってねー」
「せっ、先輩っ、写真撮る直前まではっっっ」
「翠葉、足細いんだからいいじゃない」
「ただ単にもやしなだけですっ」
 もやし、それは言えている……。でも、胸の膨らみや腰から尻へかけての曲線は女らしくてきれいだ。
 ――俺、今何を考えた……?
 御園生翠葉が女であることはわかっているが、それとは別の意味で女として見てしまったことに己がうろたえる。
 そんな中、司先輩に視線を戻すと妙な安心感があった。
「いやみな子ねぇ……。去年と比べると少し体重増えたっぽいし、十分きれいな足よ?」
「翠葉にきてるオーダーは、ポーズをとって笑顔全開」
 チラリと視線を戻すと、そこには足を抱えて蹲り、眉をハの字にした御園生翠葉がいた。
 なんとも情けない表情に、見ててイライラしてくる。
 あれだけのことをやってのけるくせに、この自信のなさはどうしたものか。
「翠葉、立って左足軽く上げて片足立ち。ボンボン持った手は腰にあてて。ほら、さっさとやるっ!」
 立ち上がった御園生翠葉は言われるままにポーズを取るがへっぴり腰もいいところ。表情どころか全身で情けなさを表現している。