「納得した。それとさ、応援合戦の練習中、体調がつらくなったら無理せず早めに申し出てね。御園生さん以外全員男だから、その辺ちょっとわからなくてさ。少し休んでから再度参加って形で全然かまわないから。場所がどこであろうとやっぱ危ないからさ、倒れるのだけは絶対禁止」
「はい。本当にすみませんでした」
「いいよ、この話はこれで終わり。さっ、いつものミーティング始めるよー」
 団長は深く突っ込まなかったけど……。
 この女が作るはずだった一着は誰が作ることになったのか。
 ……司先輩? まさか……いや、でも、司先輩なら裁縫もできるのかもしれないし……。
 司先輩と裁縫、というワードを同時に出すのは憚られ、誰に訊くこともできずにミーティング時間を過ごした。

 それからも、俺は毎日のように図書室へ向かい、御園生翠葉の仕事ぶりをチェックをしていた。
 収支報告のチェックは滞ることなく行われており、組間で行われる金銭トレードも、日ごとにわかりやすくまとめられている。さらには、会計あてに届くメールにだって、わかりやすい説明を記し素早くレスポンスしていた。
 目を皿のようにして粗を探そうとも、粗という粗は見当たらない。
 これごときの仕事が自分にできないとは思わない。ただ、副団長をしながら、組で競技の練習をしながらだったらどうか、と問われると、御園生翠葉ほど早くメールへの対応ができているかは疑問が残る。