団長の言葉に続き、
「先輩、会計の仕事を分担するべきだと思います」
 こんな状況に陥っても今の体制を変えないのは間違っている。それこそ、あの女のわがままではないのか。
 司先輩らしい行動を、判断を目にしたい。
 そう思っていたのに、司先輩が何を言うより先に、団長がどうでもいいことを口にした。
「それとさ、飛翔なんだけど、生徒会でもこんな感じなの? あまりにも御園生さんにきつく当たりすぎ。直したほうがいいと思うけど?」
「自分、間違ったことを言ったつもりはないので、態度も言動も改めるつもりはありません」
「どうなのよ、これ」
 司先輩はこの件に関しては一言も触れず、
「詳細が聞けて助かった」
 あまりにもあっさりと踵を返した。
「ちょっ、藤宮? おまえどうするつもりだよ」
 司先輩は肩越しに視線だけよこし、
「翠の意思を尊重する」
「そうすると、御園生さん破綻するけどっ!?」
「破綻なんて認めない」
 何をどうする、ということは一切口にせず、あっという間にその場を去った。
「御園生さんの意思を尊重させて破綻させないって無理じゃね?」
 真顔の団長に同感。
 今までの司先輩なら、使えないものは即切る。問題が発覚した時点で即対応。そういう方針だったはずなのに――。