応援団の練習が終わり次の練習の課題などを話し合っていると、
「あ、藤宮だ」
 団長の言葉に視線を上げる。と、観覧席の最上階で海斗と司先輩が話をしていた。その話が済んだのか、ふたりは俺たちに視線を定める。
「俺たちに話あるっぽい?」
「さぁ……」
「ちょっと行ってこようかね」
 団長のあとを追って観覧席を上がると、
「藤宮がここに来るってことは、御園生さん絡みでしょ?」
「何があったのか知りたいんだけど」
「へぇ……さすがの藤宮も、御園生さんが絡むと下手に出るんだ?」
 団長の態度が気に食わなかったのか、司先輩は身体の向きを変え俺に視線を向けた。すなわち、早く話せ――。
 海斗と話していたのだから、貧血を起こしたことは知っているだろう。だとしたら、司先輩が知りたいのはその先のこと。
「さっき戻ってきて……少し口論になりました」
「口論の内容は?」
 若干の面倒臭さを感じながら概要を伝えると、司先輩は人が気づくか気づかないかくらいの小さなため息をついた。
「御園生さんに負担かけすぎじゃね? あれじゃ彼女身動き取れないよ。こっちも、まさか生徒会サイドがそんな状況になってるとは知らなかったから、嫌がる彼女に副団長任せちゃった感否めないんだけどさ」