司先輩がフォローするほどこの女に価値があるとは思えない。
 そんなことを考えていると、竜が場にそぐわない声音で疑問を問う。
「え? なんでですかー? みんなで楽しくお弁当食べるだけですよ?」
「あの人、面倒なことに男性恐怖症の気がある」
 俺の簡潔な答えに竜はひどく驚いて見せた。
「えっ!? そうだったんですかっ!? じゃ、何? 俺とか生徒会メンバーって男って見られてないんですか? あれ? でも、そうすると司先輩はっ!?」
 その様が癇に障ったのか、司先輩は竜のことを無視して朝陽先輩に視線を定めた。
「司も心配性だなぁ……。その点は桃ちゃんがしっかりクリアしてくれてるよ。別にふたりきりで食べろって言ってるわけじゃない。当選した人間への風当たりが強くならないように、当選した人間は友達を五人まで誘っていいことになっているし、姫と王子も五人まで友達を誘っていいことになってる。それにさ、必ずしも姫だけが指名されるとも限らない。当選した人間は、姫と王子の両者を指名することもできる」
 その言葉に納得したのか、これ以上何を言っても無駄だと思ったのか、司先輩は口を閉ざし窓の外へと視線を向けた。
 そんな司先輩を見た御園生翠葉も、同様に肩を落とした。
 その後、何事もなくミーティングは終わったが――。
 ……あんた、自分が副団長に任命されたこと忘れてないか? 今言わずしてどうする。
 そうは思ったが、面白いことになりそうだったからそのまま放置した。