副団長に任命された放課後、姫と王子の出し物を開示するための集まりがあった。
 司先輩は相変わらず不機嫌そうに窓際に座っている。対して、御園生翠葉は海斗たちに背を押されてテーブルまでやってきた。
「今回の姫と王子のイベントなんだけど、権利取りリレーだから」
 競技の説明を朝陽先輩がすると、司先輩は違えず的をついてくる。
「褒美って……?」
「勝った組の人間を抽選で三人選んで、当選者には姫または王子と一緒にお弁当を食べられる権利を発行。それから、全校生徒へ発行するものとして、姫のチア姿、王子の長ラン姿のスチル写真をデジタルアルバムに収録することが決まってる」
「やですっ」
「ごめん被る」
 他人事ながらに思う。この女にとって今日は厄日だろう、と。
「おふたりさん、ごめんね? これ、もう決定事項だから」
 嫌がるふたりにプリントを差し出したのは春日先輩だった。
 すでに決定事項であることを突きつける。そんな感じ。
「基本、姫と王子の出し物って全校生徒に還元されることが前提だし、写真以外に何か案があるなら聞くけど? 正直、前回の紅葉祭よりはいいと思うし、前回の紅葉祭並みに全校生徒に還元できる出し物があるなら提案してくれてかまわないよ? 全校生徒に還元する、という意味で、写真撮影とライブステージを比べれば、写真撮影のほうが企画価値は低いよね。それゆえ、抽選で選ばれた人のみにお弁当タイムを付加したんだけど」
 朝陽先輩の口述に反論したのは司先輩。
「第一、翠が男とふたりで弁当を食べられるとは思えない」
 ……これはフォローだろうか。それとも、逃れるための策?
 なんとなく、前者のような気がして面白くない。