数日後、昼休みに赤組の集会があった。
「応援団長になった風間亮太です、よろしく! これから副団長ふたりを選出しようと思う。三年から団長出したから、二年と一年から副団長出したいっていうのが三年の意見なんだけど、反対意見ある?」
 赤髪の男があたりを見回すが、異論の声は挙がらなかった。
「じゃ、自薦他薦問わないから名前挙げて。まずは立候補。次に推薦を受け付ける」
 ポツポツと手が挙がり、一年からの立候補が三人。二年の人間が手を挙げることはなかった。そして、推薦へ切り替わった途端、能動的に手が挙がる。
 何より驚いたのは、隣に並ぶ二年が一斉に手を挙げたこと。
「な、なんなんだよおまえら……」
 団長が身を引くほどの勢いがあった。それに答えたのは海斗。
「うちのクラスの意見、全員一致なんで」
「……で? 誰を推薦?」
「「「「「「「御園生翠葉」」」」」」」
 その名前を聞いて、「またか」と思う。
 どうしてこんな面倒な人間を担ぎ上げるのかが謎で仕方がない。
 俺から見たら、力不足以外の何者でもない。現に本人だって「無理だ」と申し出ている。
「まぁ、そう言うなって。競技にはあまり出られないんだから、応援合戦くらいガッツリ参加しようぜ!」
 海斗、安易すぎ……。
 そうは思ったが、よくよく思い返してみれば、このクラスは球技大会の表彰式にもこの女担ぎ上げていた。
 ものすごく嫌な予感がするが、これは押し切られる形で引き受けることになるんじゃないのか……?