「だって、泣き言漏らしたら絶対に会計職を取り上げられると思ったんだもの」
「それも方法のひとつではあったけど……俺、翠には甘いって言っただろ?」
 何度となく言ってきたのだから、そろそろこれだってわかってもらえていいはずなんだけど……。
「翠が嫌がることは基本しない方針。その辺、もう少し理解してほしいんだけど」
「……ごめん、ありがとう」
「じゃ、飲み物飲んで少し落ち着いて。そしたら、今日と明日の予習復習」
「はい」
 翠がほっとした顔で教材を用意するのを見て、俺も心を撫で下ろす気分だった。