私のポーズはさっき嵐子先輩に言われたとおりのもの。ツカサは両腕を組むといったポージング。
 ふたり背中を合わせて顔だけを正面に向けるのだ。
 スマイルシャッターを稼動させると、ツカサのもとへ戻ってポーズ作り。
「ツカサ、あのカメラね、笑うと勝手にシャッターが落ちるの。だから、せーの、で正面向いて笑顔作ろう?」
「了解」
「せーのっ――」
 顔を正面に向けた途端、シャッターが次々と落ちる。
 十秒ほどその状態を保ちカメラの元へと走ると、七枚の写真が撮れていた。しかし、ツカサは笑っておらず、笑っているのは自分ひとり。
「ツカサ、ずるい……」
「俺には笑顔のオーダーきてないし」
 くつくつと笑うツカサにカメラを取られ、一枚ずつプレビュー画面が表示されていく。一巡してから、
「五枚目。これなら朝陽たちも納得するんじゃない?」
「本当……?」
「とりあえずは見せて確認」
「はい」

 体育館へ戻ってきたみんなに見せると、問題なくOKが出た。
 自分もみんなもほっとしたけれど、ただひとり飛翔くんだけが、
「突破口があるならとっとと提示しろよ」
 厳しい言葉を残してその場をあとにした。