ツカサに教え込まれたことを忠実に再現していく。と、
「くっそ……まじ翠葉のダンスきれいだ。どこにも隙がない」
「それにつられるように踊ってるから、佐野の動きもいいわね」
「「ただ、ふたりとももっと笑顔でっ」」
 私と佐野くんが目を見合わせ苦笑を漏らす。
「笑顔全開で踊ってるペアって俺まだ見たことないよ」
「私、今までツカサの絶対零度の笑顔を相手に練習してきたのよ?」
「それはそれはそれは……」
 こんなふうにして何度か交互に練習を重ね、最後は恥ずかしさも何もかもかなぐり捨てて、四人満面の笑みで踊って練習を終えた。
「俺、これはかなり点数稼げる気がする」
 佐野くんの自信に海斗くんも頷く。
「翠葉をツカサに預けてたのってマイナスじゃなくてプラスになったかもな? ここまで仕込まれて帰ってくるとは思ってなかったよ」
「ま、あの男が中途半端なことをするとは思えないから、これがあるべき姿な気もするけれど……」
「そう言ってもらえて良かった。私、参加種目が少ないから、何か少しでも貢献できればいいのだけれど……」
 そこへ、ダンス種目に出るもう一組のペアがやってきた。
 静音先輩と風間先輩だ。
「あら? もう練習終わっちゃった?」
「はい。今少し前に」
「私たちも練習したいから少し付き合ってもらえない?」
 私たちは笑顔で請合った。