翌日学校へ行くと、次々と登校してくるクラスメイトに囲まれた。
「翠葉、昨日貧血で倒れたって聞いたけれど、大丈夫なの?」
 心配そうに声をかけてくれたのは桃華さん。
 桃華さんやほかの女子はチアの練習とモニュメントの製作があるため、私とは常に別行動なのだ。
 逆に、応援団の練習を一緒にしていたクラスの男子は誰もが昨日のことを知っている。
「えぇと……ちょっといっぱいいっぱいだったのだけれど、これからはたぶん大丈夫」
 二学期になっても、クラス全員にはまだ慣れていない。
 そんな中で話すのは緊張したけれど、ここにいる人が自分の心配をしてくれているのはわかるから、きちんと自分の言葉で伝えようと思った。
「それにしても、会計と副団長、さらには衣装の製作って結構なボリュームだと思うけど? 噂だと、藤宮先輩の長ランも引き受けたって話だし」
 香月さんの指摘に驚いた顔をする人が多数いた。
「「そんなことになってたのっ!?」」
 声を揃えたのは海斗くんとサザナミくん。
 間違いなく、唯兄の言ったとおりなのだ。これは、健康な人であってもオーバーワークと判断される事態だったのだろう。
 少し冷静になって考えればわかることだったのに、負けず嫌いの私は自分で自分の首を絞めていた。
「会計の仕事振り分けらんないの?」
「司のやつ、現状知ってんのかな」
 サザナミくんと海斗くんの言葉はツカサを責める響きを含む。
 私は慌てて弁解した。