「長ランひとつとハチマキひとつならなんとかなる気がする……」
 ほっとしたら胃のあたりが和らぎ、追加で涙が出てきた。
「問題が解消したなら泣くな」
「だって、本当にどうしようかと思っていたから……」
「あぁ、それなんだけど――空回りしそうになったら俺を呼ぶっていうの、完全に反故にされてる気がしてならないんだけど」
「どうしてくれる?」と言わんがごとくの視線に、私は苦笑を返した。
「ごめん……だって、泣き言漏らしたら絶対に会計職を取り上げられると思ったんだもの」
「それも方法のひとつではあったけど……俺、翠には甘いって言っただろ?」
 一年生のときから何度となく言われている言葉だけれど、どちらかというなら、いつも厳しさが勝っている気がする。
 そんな私の気持ちに反して、
「翠が嫌がることは基本しない方針。その辺、もう少し理解してほしいんだけど」
「……ごめん、ありがとう」
「じゃ、飲み物飲んで少し落ち着いて。そしたら、今日と明日の予習復習」
「はい」